これはイチローが中学一年で徳島にいたときのお話です。
イチローの学校の裏には山があり、そこではよく幽霊が出るという噂がありました。
学校の裏山で出るため、すぐふもとにある学校にも出るという噂がありました。
山は一本道でつながっていて、その奥には地蔵があり、さらにその奥には井戸があるという噂がありました。
これらは噂で、真実は定かではありません。
イチローは友人に誘われ、その『井戸』が本当にあるのかどうかを確かめに行くことになりました。
学校が終わって、みんなで裏山に向かう。
その裏山のふもとには小さな小屋があり、そこには変なお爺さんが住んでいます。
地元では有名なお爺さんのようです。
いつも何をしゃべっているのかわからないが、何か『もごもご』しゃべっているらしい。
裏山に入ろうとしたとき
案の定おじいさんが小屋からでてきた。
『ごちゃごちゃ』いっていたみたいですが、、どうやら
「地蔵には手を出すなよ」
と言っていたみたいです。
「出すわけないやん!俺ら井戸があるかどうか確かめにいくねん!」
といってお爺さんをあとにした。
長い一本道をしばらく歩くと
地蔵があった。
「うぉーホンマに地蔵あったで!」
「まぁーええやん、そんなんほっといて井戸探しに行こうぜ!」
と、イチローたちはさらに奥に入っていった。
しかし
どこまで行っても井戸がみつからない・・・・
イチローたちは諦めて引き返すことにした。
そして地蔵のところまで戻ってきたときに、友人Aが口を開いた
「このまま帰って、何もなかったっていっても先輩ら信用してくれへんで。」
・・・
・・・
「この地蔵持って帰ろうぜ」
と友人Aがいった。
友人Bも乗り気だ。
「やめとけって!」
イチローは、どう考えても危ない気配をバシバシ感じていたので、やめるように促したが友人たちは聞く耳をもたない。
そして友人Aは地蔵をかつぎ、山を降りた
学校までの道のりはあと半分ぐらいだろうか?
友人Aが突然地蔵を投げ捨てた。
「こんな重いもん持ってられるか~。もういいわー俺帰るわー」
そういってここまでかついできた地蔵をおいて山を降りてしまった。
投げ捨てたときの衝撃で地蔵の頭の右半分が欠けていた・・・
そしたら次は友人Bが口を開いた。
「せっかくここまで、持ってきたんやし~俺持って降りるわ~」
そういって友人Bは地蔵をかついで山を降りた。
もう出口まで数えるほどのところまできた。
ゴールも目前といったところで
友人Bも地蔵を投げ捨てた。
「あかん重いわーもう無理やー」
そう言ってここまで持ってきた地蔵をおいて山を降りていった。
投げ捨てた衝撃で、地蔵の首から上が取れていた。
山のふもとの小屋まで帰ってくると、あの変なお爺さんが出てきた
「地蔵にふれてへんやろうな!」
いつも何をいっているのかわからないのに、この時は妙にきれいに聞き取れたそう。
「何もしてへんわ!」
そういってその場を立ち去った。
それからまた何も変わらない毎日が始まる。
そんな日が一週間続いたころだろうか?
友人Aと友人Bが事故にあったという知らせが入った。
原付きを二人乗りしていて、トラックと接触したようだ。
二人は死んだ。
当然イチローの友人であるから、イチローは葬式に行こうとする。
しかし葬式には来なくていいと、家族の人に拒まれた。
納得のいかないイチローは、なぜ行かせてくれないのかと問い詰めた。
事故の際、友人Aはトラックのサイドミラーにぶつかり、頭の右半分がえぐれてなくなっていた。
友人Bはそのまま対抗車線に投げ出され、走ってきた車にぶつかり首から上がつぶれてなくなってしまったらしい。
・・・
・・・
地蔵と同じである。
そんなんだから、とても人には見せれるものでないと、家族の人は葬式に来るのを拒んでいたのである。
しかし
これが本当に地蔵の呪いであるのかは定かでない・・・